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待遇の悪さが人手不足を引き起こす?
いくらやりがいがある仕事だとはいえ、給料が低ければ将来性や安定感を考えてしまうため介護職に就きたいと思いながらも実際に介護職として働くことは難しいかもしれません。現に、介護福祉士の登録者数は140万人ほどいるにもかかわらず、介護職員として働いているのは登録者数の約半数、78万人ほどです。
介護業界自体が人手不足に悩んでいますが、その中でも特に深刻なのが訪問介護です。それは、施設介護で人手不足と感じているのが18.2%なのに対して訪問介護で人手不足と感じているのは38.1%と倍になっていることからも読み取ることができます。また、人手不足になる原因として団塊世代の大量退職で労働力がかなり減少したことや採用が困難であることがあげられていますが、そのうち採用が困難だからと答えたのは70.2%とかなり高い数値を出していました。次いで、事業拡大で人材確保ができない、が19.8%、離職率が高いが15.3%と続いています。
実際に働いている人が少ないから人手不足に悩んでいるのに採用が困難、とは一体どういうことでしょうか。
介護職は人手不足に悩んでいるため他の職業に比べて就業ハードル自体が低くなっています。そのため、経験が少なくてもブランクがあっても正社員で働くことはそう難しいことではありません。正社員は安定した雇用とさまざまな福利厚生を受けることができるため、他の職業よりも正社員の就業ハードルが低いならかえって人気が高くなるのでは?と思う人もいることでしょう。しかし、現在は景気の上向きに伴って雇用が安定してきたこともあり、いくら就業ハードルが低いとはいえ給料の低い介護職に就かずとももっと条件や待遇の良い職業もあるため、そちらを選ぶ人の方が多く介護職に応募する人の数が少なくなっているのです。その結果、介護職は人手不足のままを維持することになりなかなかその現状から抜け出すことができません。
これから先も高齢化が進むことが予想されるため、介護を中心とした高齢者ビジネスもますます盛り上がっていきそうなものですが、人手不足が大きく影響し今ひとつ伸び悩んでいるのが現状です。そのため、ベッドが空いているのに職員が少なくて手が回らないから入所を断る、なんてこともそう珍しいことではありません。
介護職はやりがいの多い仕事ですが、やりがいやモチベーションだけでは続けていくことはできません。実際に働く職員が実りある生活を送れなければ、熱意ややる気を持って仕事をすることはできないはずです。やる気を引き出すためにも給料アップは欠かすことができない必要なことだといえるでしょう。
待遇や労働環境が悪いブラック施設かどうかは実際働き始めるまで分かりません。しかし、絶えず求人が出されている施設や態度が悪い面接官のいる施設、当日欠勤が難しい施設はブラック施設である可能性が高いため、求人を探す段階から細かくチェックすることをおすすめします。
介護職の給料は介護報酬によって賄われていますが介護報酬自体が安く設定されているため介護報酬自体が上がらない限り、給料も上がりません。また、低い給料のまま働き続けている人も多いため、なんとかなっていると判断されてしまい給料アップにつながらない、ということもあります。